みらい学舎

テキスト





算数的・数学的な発想を育み、公式暗記や計算主体の解法に頼らない生徒を育てる。



単なる答え探しではない、しっかり文章を読み(理解し)考え、自分の言葉で書く力を育てる。



心に残る話術と板書こそ、塾教師の力量が最も威力を発揮できる道具である。



授業中の言葉のキャッチボールと確認テストのリンクで、定着と理解度を深める。



何よりも勉強を好きになってもらいたい。解ければ楽しくなれるから。






 長年中学受験の算数、高校受験の数学を担当してきた際の授業における根本の留意点として、「板書は生徒のノート作りを意識して書く」ということを意識してきました。算数や数学の文章題では「差」を見せること、図形では「正確な図」を描くことを最大のポイントととらえ、いかにして視覚・聴覚に訴えかけ、図解できるかが算数の教師としての力量であると考えます。クラス単位での授業を前提とするため、早期段階から計算のみで解くことに主眼は置きません。簡単な問題である時期だからこそ、いかに図を用いた考え方を浸透させていけるか、ということです。また、理科では学習単元内容をコンパクトにまとめ、(美しく)整理された板書によってポイントを絞ったノートを生徒に作ってもらいます。


 特に中学受験の小学生を対象に、長年使ってきた教材である「予習シリーズ」は、中学受験における良質の教材であることはまちがいないと思います。しかしテキストの説明は多くの小学生にとっては「分かりにくい」という声を親子双方から聞いてきました。したがって、「図を利用した視覚に訴える解法・考え方」に重点を置きながらの指導をしてきました。文章問題(特殊算)は分類すると20通り以上の区分がなされ、それぞれに解法・考え方を説明していくと、算数が大好きな生徒の反応はいいのですが、苦手意識を持つ生徒がのってきません。私はこの区分を「解法の図」という分類によって7通りの基本的な図に再編して、生徒が解きやすい(取り組みやすい)解法を黒板で展開します。


 例えば、中学生が習うと「方程式」になるわけですが、算数の「つるかめ算」「差集め算」「過不足算」は、面積図を使わないほぼ同一の板書例になりますので、既習単元を同時に復習でき、基本問題の習得と定着に力を注ぎます(面積図も紹介はしますが)。他には、「濃度の問題」と「平均の問題」、応用としては「ニュートン算」と「旅人算」と「時計算」も導入の板書はほぼ同じです。この作業は、予習シリーズの前後した単元学習という構成上、図からのアプローチで復習をかけられるという大きなメリットがあります(予習シリーズの単元名だと、5年上第○回参照という同一名称の単元見出しになっていますので)。もちろん、複合問題や難問を解く際には大胆なアレンジをするわけですが、問題の根本を理解していく過程では、部分的な単元の考え方が重要なポイントになると考えます。


 また、私の専門分野でもある生理学的な観点から、学習においては同時にたくさんの筋肉を使うことで、より効果的に記憶の定着がはかれます。つまり、「目」「手」「耳」で同時に覚えていく作業が必要条件であると考えます。リズミカルに、身近な具体例を挙げながら平易な言葉で伝えること。とにかくインパクトのある言葉や上手な板書の図が、生徒たちの集中力を引き出す特効薬ではないでしょうか。理科では「昆虫の完全変態の覚え方」「夏の大三角の覚え方」「冬の大三角の覚え方」などは、五七調を使うといいようです。例えば、黒板に夏の星座の位置と向きを書き示して、「ワシとコト 向かい合う川 ハクチョウの 南を向いて サソリ赤々」てな具合にです。